女性の一生に関わっていく婦人科医として、更年期女性の身体の不調に関わっていくことが多くあります。
更年期とは閉経の前5年間 閉経後の5年間通算10年の時期を言います。
その10年間に起こる様々な体調の不良を更年期障害といいます。
代表的な症状としては、「 突然にに発汗してしまう 」 「 些細なことにイライラしてしまう 」 「 不安感が強くなってしまう 」など30種類以上あると言われています。
これらの更年期症状の多くは定量化などをすることが難しく、主観的です。
私は、経過観察、漢方薬治療、決定的な効果があるホルモン補充療法、及び処方した場合の副作用及び問題点をについての説明をした後、治療開始、または治療の選択を患者さんの意思に任せることにしています。
治療を開始しないで、経過を見たいと言う患者さんについては「 症状が重くなり、辛くなったらまた相談に来てください。 」と送り出すことにしています。
ただ、ここで、「 不安感や焦燥感が強く、社会生活が今までのように過ごせなくなっています。」と訴える患者さんをフォローなしの経過観察にしてしまうと、「 うつ病 」を見逃してしまうことになります。
ライフサイエンス出版 高橋 倫宗 鬼頭智美 著 難解な専門書とは異なり一般の人でも理解しやすく、本人はもとより家族、関係者にぜひ読んでいただきたいです。
患者さん本人のことがよく理解できます。
うつ病の障害有病率6.2%、そのうち治療を受けている人の生涯受診率29.0%過ぎません。 うつ病は精神病とは違います。強いストレス、すなわち、職場でのパワハラ、家庭内での不和、大切な人を喪うなど、誰でも起こり得るものです。
相手の期待に応えようとして、自分では限界と思っていても無理を重ねてしまい、自分自身を呪縛し、発症してしまいます。
このような人は、子供の頃から素直な優等生であることが多く、期待に応えることが当たり前のため、無理をしてしまうのでしょうか。
うつ病の分類としては「メランコリア型うつ病(定型うつ病)」と非定型うつ病の分類が
以前の分類でした。
「非定型うつ病」の特徴は仕事など、一定の環境下では鬱症状が出現しますが、好きなことなどの条件下では普通と変わらないということが起こります。
不眠と言うよりは、どちらかというと過眠傾向になり、食欲減退ではなく普通ないしは増加します。
症状は入院するほどの重症が少なく、ただ、サボっているだけだとか、詐病まで考えられてしまうこともあるようです。
状況によって鬱状態の状況が変化します。
最近では、非定型うつ病と定型うつ病の区別が抗うつ薬治療上効果に違いがないので
区別する必要が少なくなっています。
診断基準としては
1 抑うつ気分
2 興味または喜びの著しい減退
3、体重または食欲の変化
4 不眠または過眠
5 焦燥感、または精神活動の停滞
6 疲労感
7罪悪感または無価値感
8 集中力減退、または決断困難
9 死についての反復思考
9の症状のうち、5つの症状が当てはまれば、うつ病と診断して良いと思われます。
うつ病の人の気持ちは、
「朝から何もしたくない」したがって、布団からも出たくないし、ひどくなればパジャマのまま着替えることすらできなくなります。
ただ、夕方になると少し動き出せるようになることがあるようです。
「イライラや、怒りを感じる」 温厚な性格だった人ささいなことで怒りのスイッチが入っている暴言を吐いたり、暴力行為をしてしまうことがあります。
「虚しく、物足りない」 このため、あてどもなく街をぶらぶらしたりしてしまうこともあります。
「何もかも、楽しめない」これまで好きだった趣味をしなくなりできなくなります。
ところが、ゲームに没頭したり、YouTubeばかり見ていたりします。
家族などから見れば、この行動を不審に思うかもしれませんが、何かに依存する気持ちが生じやすく、ゲームやYouTubeに没頭していれば、何も考えないで済むからなのです。
ほかには「自己肯定感が下がる」「後悔ばかりしている」「人生をリセットしたい」などがあります。
20年以上前になりますが、丸の内で学会のカウンセリング講義を2週間にわたって毎日受けたことあります。
その中で、駅の近くの病院に勤めているある講師の精神科医が、「 やっと軽快しかけたうつ病の患者さんを診察、その後駅で電車の長い警笛が鳴るのではないかといつも恐れていた」とのことです。
重症のうつ病患者さんが軽快する時が最も危険なのです。
私はひたすらケイタイのラインを見ていた。とはいっても相手はふたりしかいなかた。妻からの次はいつ行くというラインを、じっといつまでも見ていた。
兄(注 精神科医)からはいつも一行だった。「必ず治ります」 自分は独りではないんだぞ、と心にいい聞かせた。
中略
「学が経験したことをそのまま書けばいい、本物のうつ病のことをきちんと書いた本というのは実は少ないんだ。うつっぽい、とか軽いうつの人が書いたものは多い。でも本物のうつ病というには全く違うものなんだ。ごっちゃになている。」私は少しずつ書いてみることにした。
更年期の時期以外で、我々が診察する機会があるのが産褥期うつ病です。
産褥期うつ病は出産を数週間から数ヶ月以内に発症するうつ病です。単なるマタニティーブルーズ(産褥2日から3日後から10日程度の一過性の気分変調)とは異なり、重症で持続的な症状を示すことがあります。
これは、自身のみならず、乳児への加害等も加わり、緊急性を要することがあります。
スクリーニングテストとしてはエジンバラ産褥後うつ病テストが精度が高く、世界中で使われています。
うつ病の治療としては、うつ病は脳内のセロトニン分泌が減少することが原因の病気ですので、
セロトニンの分泌を増加させるために選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)
セロトニンだけでなく、意欲などに関わるノルアドレナリンを増やす目的で
セロトニン ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)などが多く使用されます。
私はさらに大事な事は、家族の症状への理解とサポートが早期回復へのカギを握っていると思っています。
パートナーに気持ちを理解してもらえない関係が長く続くと、うつ病の発生率が10倍になるという研究からも明らかです。
また、私は自分の思いを十分に傾聴してもらえることから心理カウンセラーによる心理カウンセリングは大変症状改善には有効だと思っています。
そんな不幸な事態が万一起こったならば、心の中で「時の流れを信頼しましょう」とお呟きなさい。時の流れとは不思議なもの 遠藤周作
「うつ病」かもと、思いかつ読む意欲がまだあるひとが読む本です。
うつ病を学問的に究めたい人向きです。症例提示が興味深いです。
人は つらく、かなしい、ときこそ優しいこころづかいを忘れないものです。
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by koutetukai
| 2026-02-12 18:46


























